政策転換ひとつで思いも寄らぬ“落とし穴”
ただし、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は米国のリスクも踏まえておく必要があると指摘する。
「日本の直近の景気後退は2018年11月から2020年5月まで続きましたが、要因の一つはトランプ大統領による中国製品への追加関税だったとされています。米国政府の対中措置が巡り巡って日本の景気に影響を与えた。米国は今後も世界一の経済大国であるだけに、その政策転換ひとつで思いも寄らぬ“落とし穴”が生じることがあるので、動向に注意を払い続けておくべきです」
日本の大メディアは大統領選報道で米国の分断の深刻さや民主主義の危機ばかりを報じているが、そこだけを見ても本質を見誤る可能性がある。
米国経済はタフで、国内に分断と矛盾を抱えながらも政府はビジネスチャンスをつくり、成長のエンジンをふかそうとしている点を見逃してはならない。
日本はリスクに怯えるだけではなく、それに乗り遅れてはならないのだ。
(前編から読む)
※週刊ポスト2024年11月22日号