「便座の向き」を考慮しないと転倒リスク高まる
老後に備えてトイレをバリアフリー改修する際にも落とし穴がある。自身も車いすを利用する一級建築士の阿部一雄氏が語る。
「『便座の向き』を考えずにリフォームしてしまうケースが多いのです。便座が入り口に対して向き合うように真正面を向いている家が多いですが、体の不自由な人にとって体を180度回転して便座に座る動作は思いのほか難しい。無理に体を回転させようとすると、転倒リスクが高まります。
将来の介護生活を考慮してトイレをリフォームする場合は、手すりの設置や節水トイレへの変更を考える前に、便座の向きが入り口から真正面を向いているなら横向きに改修しましょう」
大がかりなリフォームをせずにトイレ周りを改善したいなら、持ち運びできる『ポータブル水洗トイレ』という選択肢もある。
「寝室などに置けて大きな工事は不要です。周りをカーテンで囲むようにするといいでしょう」(阿部氏)
ポータブル水洗トイレは「ベッドサイド水洗トイレ」(TOTO)といった名称で販売されている。
「介護保険サービスが使え、都道府県の指定を受けた業者で購入すると最大10万円まで補助金が出ます」(同前)
※週刊ポスト2024年11月22日号