日本シリーズが終わり、プロ野球はストーブリーグの季節を迎えた。選手にとって来季の年俸が決まる大事な時期であるが、査定の際には当然、“今季どれだけ年俸に見合う働きをしたのかどうか”が問われる。今オフに大幅な年俸アップが見込めそうな選手は誰か。プロ野球を各種データから分析した『データ・ボール』(新潮新書)などの著書があるライター・広尾晃氏協力のもと、各選手の年俸(推定、以下同)と成績から“コスパ”を算出し、ランキング化した。
打者は今季一軍出場のあった319人の「1安打あたりの年俸」を算出した。コスパの良さが際立ったのは、日本ハムの選手だ。広尾氏が解説する。
「1位は日本ハムの水谷瞬(23)で、年俸560万円ながら94安打を放ち、1安打あたり5万9600円でした。2022年に始まった現役ドラフトでソフトバンクから移籍したプロ5年目。一軍未出場ながら新庄剛志監督がほれ込んで指名した選手です。安打製造機タイプで現役ドラフトの成功例のひとつ。
3位の田宮裕涼(24、1安打あたり8万2300円)も日本ハムのプロ6年目。昨年はシーズン終盤に一軍へ昇格すると、プロ初本塁打を放った。昨オフに年俸が570万円から700万円にアップしましたが、出場試合数が昨年の10試合から109試合に激増したことでコスパが良くなりました。9位の水野達希(24、同13万100円)も複数ポジションできる守りで、今シーズンでは主に9番で勝負強さを発揮した。
いずれも新庄監督が見出した選手。彼は自分がほれ込んだ選手を使い続ける。水野はケガで辞退しましたが、3人ともオールスターゲームに選ばれた。このコストパフォーマンスの良さに今年の日本ハムの特長が現われていると思います」(以下、「」内は広尾氏)
12球団の野手319人のランキングを見渡すと、1安打あたりの年俸が100万円を超える選手は203人いる。1安打あたり5万円台から13万円台という日本ハムの若手のコスパの良さは際立っているわけだ。