列車が走る軌道は、時間帯によって変わります。日中は、4本の軌道のうち、2本に各駅に停車する普通列車(Local)、残り2本に停車駅が少ない急行列車(Express)を走らせます。いっぽう深夜は、2本の軌道で普通列車を走らせ、残り2本を運休にしてメンテナンスを行います。つまり、深夜に運休にする軌道をその日ごとに変えることで、列車を止めずに4本すべてのメンテナンスを行っているのです。
軌道が3本の区間では、深夜に2本の軌道で列車を走らせ、残り1本を運休にしています。このため、メンテナンスのために深夜に列車が駅を通過することもあります。
なお、海外の地下鉄では、線路のメンテナンスや工事のために一部の駅の営業をやめる、もしくは一部区間を運休にすることがよくあります。そのほうがメンテナンスや工事を効率よく進めることができ、合理的だからです。
いっぽう日本の地下鉄では、基本的に営業時間に駅の休止や区間の運休をすることはありません。大規模なトンネル改造工事を、列車の運行を続行しながら実施した例もあります。この国では、鉄道が担う社会的責任が大きく、海外のような合理的な考え方がなじまないからです。
深夜でも眠らない街
現在のニューヨークでは、地下鉄だけではなく、バスでも24時間運行が実施されており、人が絶えず移動しています。これが「眠らない街」と呼ばれるゆえんです。
私はタイムズ・スクエア付近を歩き、地下鉄を利用して、その実態を知りました。深夜1時を過ぎても広場や地下鉄の駅、車内にたくさんの人がおり、多くの建物の窓が朝まで煌々と光を放っていました。また、地下鉄では、深夜3時あたりからこれから出勤する人を見かけるようになり、早朝5時には車内が混雑し始めました。