川辺謙一 鉄道の科学

ニューヨークの地下鉄が「24時間運行」を実現できているのはなぜ? 午前3時頃から通勤客が集まり早朝5時には車内が混雑

ロンドンの地下鉄でも終夜運転を実施

 ニューヨーク以外の都市の地下鉄では、通年の24時間運行が実施されていません。線路が基本的に軌道2本の複線であり、深夜に列車を止めないと、線路のメンテナンスができないからです。

ロンドンの地下鉄。写真のセントラルラインをふくむ一部の路線では、週末限定で終夜運行を実施している

ロンドンの地下鉄。写真のセントラルラインをふくむ一部の路線では、週末限定で終夜運行を実施している

 ただし、イギリスのロンドンの地下鉄では、2016年から「ナイトチューブ」と称して、週末限定の終夜運行を実施しています。現在は、毎週金・土曜日の深夜から早朝にかけて、6路線で列車がおおむね10~20分間隔で走っています。線路のメンテナンスは、別の曜日に集中して実施しています。

ロンドン市街を走るバス。現在約60路線で終夜運行を実施している

ロンドン市街を走るバス。現在約60路線で終夜運行を実施している

 この背景には、「ナイトバス」の利用者数が増加したことが関係しています。「ナイトバス」は、深夜23時から早朝6時まで走るバスで、1913年に運行を開始しました。現在は約60路線で運行されており、昼行便とともに24時間市民の足を支えています。

【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。最新刊は『最新図解 鉄道の科学 車両・線路・運用のメカニズム』(講談社ブルーバックス)。

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