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「毎月30万円お渡しできます」オバ記者が約40年前の苦境時に“怪しいバイト”に応募した顛末 そこで学んだ「顔の見えない人と仕事をしたらダメ」の教訓

高収入に惹かれ“怪しいバイト”に応募してしまった“オバ記者”こと野原広子さん

高収入に惹かれ“怪しいバイト”に応募してしまった“オバ記者”こと野原広子さん

 重大な社会問題となっている「闇バイト」だが、約40年前にも似たような怪しい求人があったという。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、実体験について綴る。

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「心の底から『お金が欲しい』と叫べますか?」

 求人広告のそんなコピーから目が離せなくなったことがある。スマホはおろか携帯電話さえない1986年で、私は29才。当時は新聞の折り込み広告で人材を募ることが多かったのよね。で、その頃の私は、人生最大の大沼にハマっていたの。

 離婚してすぐに同棲した男が、学歴も経歴もみんなウソ。おまけに、会社に出勤するふりをして私からお金をせびってパチンコ三昧。貧乏って、いったん歯車が回り出すとどんどん回転が速くなるのよね。ライター業に勤しんだ原稿料がどうしたことか2か月入ってこない。別の出版社は倒産して社長が雲隠れ。生命保険を解約してつくったお金も底をつき、今夜の米とおかずを買うために駅前の消費者金融にとりあえず2万円だけ借りに行こう……なんてタイミングだったから、その広告文は、そりゃあハラワタをえぐったわよ。

 とはいえ、それに続く「やる気さえあれば誰にでもできます」「あなた次第で高収入」の文言は、怪しさ満点だし、電話をかけて仕事の内容を聞いても、「お会いしたときに話します」と繰り返すだけ。やめとこうかなと思った私に、電話口でその男は「ふつうにやれば毎月30万円はお渡しできますよ」とサラリと言ったのよ。

 当時の30万円は高収入。親きょうだいや嫁ぎ先に大見得をきって離婚した私にしてみれば、どうしても男との暮らしを立てたくてね。結局、千葉・船橋の駅裏にある古いビルの2階のドアを叩いたわけ。

「電話でお話ししたときに、何か事情があるかただと思っていました」

 小柄な体にやけに目玉だけ大きな男は、折りたたみのスチール椅子を私にすすめながら、神妙な面持ちでそう言ったのよ。

 その言葉が終わるか終わらないうちに下を向いた私。

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