広島・矢野は攻撃面での成長も光った
そのなかでも際立つのが遊撃で受賞したプロ4年目の矢野雅哉(広島)だ。守備範囲の広さや強肩が持ち味で、昨季までは守備固めなどの起用が目立ったが、今季は137試合に出場して打率.260。20犠打、13盗塁と、年俸1750万円ながら機動力を含めて攻撃面でも貢献した結果、1安打あたり15.6万円というコスパの良さに。全野手でいいほうから数えて13番目となった。
矢野に続くのは捕手の山本祐大(DeNA)で1安打あたり22.1万円、外野手の周東佑京(SB)も同39.1万円と高コスパだった。逆に、ゴールデン・グラブ賞受賞者で最もコスパが悪かったのは坂本勇人(巨人)で、1安打が638.3万円だった。広尾氏が言う。
「守備のベストナインであるゴールデン・グラブ受賞者のなかで打撃面のコスパも優れている選手は、攻守でチームに大きく貢献した選手といえます。一方、休養を挟みながらの出場となった年俸6億円の坂本勇人はコスパが悪くなった。両リーグの受賞者18選手のなかでワーストランキングが2桁台の順位になったのは坂本だけ。
この世界では、一度上げた年俸は年功序列的な観点から簡単には下げることができず、それはなかなか守備面の貢献だけではペイできない。高額年俸で“守備の人”になってしまうと、複数年契約の最終年で引退に追い込まれるパターンにもつながってくる」
巨人・坂本の評価は「判断が分かれる」
今シーズンの野手のワーストランキングを見るとよくわかる。最もコスパが悪かった梶谷隆幸(巨人)は1安打あたり6666.7万円(年俸2億円)。3年契約の最終年で、今オフに引退が発表された。
「1安打あたり1000万円を超える選手は26人いて、そのうち年俸1億円以上の選手は9人だった。9人のうち6人が引退・退団に追い込まれた。残る3人を見ると2019年に7年契約を結んだ柳田悠岐(SB)、2024年に3年契約を結んだ筒香嘉智(DeNA)が複数年契約を残しており、2年契約が切れる大島洋平(中日)は再契約の見込みだが、1安打あたり1000万円はひとつの危険水域と言える。
巨人・坂本の1安打あたり638.3万円はその一歩手前。守備の貢献があっても、年俸6億円に見合うかは判断が分かれるのではないか」(広尾氏)
坂本は今季が複数年契約の最終年だったとされるが、どのような契約更改となるのかも要注目だ。
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