市場では12月18-19日に実施される年内最後の日本銀行による金融政策決定会合での追加利上げ実施観測が高まりつつある。18日の講演で、植田和男日銀総裁は、経済や物価が見通しどおりに推移してもそのつど利上げをするわけではないとした上で、「金融政策決定会合ごとに経済データなどを確認して、適切な利上げのタイミングを判断していく」との姿勢を示した。また、21日の経済フォーラムにおいて、植田総裁は「現時点で会合の結果を予測するのは不可能だ」と指摘。その上で、12月に向けて「まだ一カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と述べた。どちらの発言内容もこれまでの発言と大きな違いはない。
ただ、日銀及び植田総裁が、10月末の日銀会合にて「「時間的余裕はある」との表現を今後使用しない」と方針転換したことを受けて、市場では12月会合での追加利上げの可能性があることを意識。ドルインデックスは昨年10月以来の107水準まで上昇しているが、追加利上げ観測が高まっていることから為替は1ドル154円水準で円安進行は一服している。東京市場では、地銀やメガバンクがしっかりとした動きを見せていたことから、金融株など金利メリット銘柄は12月会合まで思惑先行の動きが見られそうだ。一方、不動産など金利デメリット銘柄は総じてさえない推移となる可能性がある。
今週にかけて、国内では、25日に9月景気動向指数(確報値)、29日に10月完全失業率、鉱工業生産(速報値)、小売業販売額、11月東京消費者物価指数、消費者態度指数などが予定されている。
海外では、25日にNZ・第3四半期小売売上高、10月貿易収支、独・11月Ifo景況感指数、26日に米・9月住宅価格指数、S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、10月新築住宅販売件数、11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、FOMC議事録、27日に豪・10月消費者物価指数、NZ・NZ中銀政策金利、独・12月Gfk消費者信頼感調査、米・週次新規失業保険申請件数、第3四半期実質GDP(改定値)、10月卸売在庫(速報値)、耐久財受注(速報値)、PCEデフレータ、中古住宅販売成約指数、11月シカゴ購買部協会景気指数、週次原油在庫、28日に欧・11月景況感指数、独・11月消費者物価指数(速報値)、29日にトルコ・第3四半期実質GDP、独・11月失業率、欧・11月消費者物価指数(速報値)などが予定されている。