ChatGPTなどによりAI(人工知能)の性能が飛躍的に向上する中、経営コンサルタントの大前研一氏は、「人材の育成・採用にもAIを用いた戦略が必要」と断言する。AI・スマホ革命による「第4の波」時代ではどのような人材戦略が求められるのか。最新刊『新版 第4の波 AI・スマホ革命の本質』が話題の大前氏が解説する。
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企業の採用面接も進化し、AIによる1次面接を活用する会社が増えている。
たとえば、タレントアンドアセスメントの「SHaiN」という対話型AI面接サービスは、オンラインで24時間365日、いつでもどこでもAIがすべての人に同じ基準で公平公正な面接を実施するというシステムで、すでに600社以上が導入しているという。
人事部などの社員が面接する場合、受験者1人が面接を受けられる会社数、1人の面接担当者が対応できる受験者数に限界があるが、AI面接なら受験者1人が何百社も面接を受けること、1社が何百人も面接することができる。さらに、人間は個々の評価基準が異なるが、AI面接はそのバイアスが平準化される上、面接記録(評価レポート)も全部残る。
私自身、同社の山崎俊明代表取締役と話す機会があったので、採用時だけでなく、入社から5年後10年後の成績もトラッキング(追跡・収集)し、伸びた人と伸びなかった人のプロフィールを蓄積・分析してデータベース化するようアドバイスした。そうすれば、AI面接の精度を上げて採用すべき人材のタイプを絞り込むことができるからだ。
私は本連載で「いまや企業は自前の人材で固定費をかけてすべての業務をカバーするのではなく、空いた仕事や足りないスキルは、まるでジグソーパズルの空白部分を埋めるピースのように、ネットで社外から募集する時代になっている」と書いたが、それがAI面接を活用することで当たり前になるのだ。