2025年卒の内定式ラッシュが10月には終了した。彼ら/彼女らが新社会人になることへの期待と不安を抱くなか、続く2026年卒(現3年生)の就職活動はもう始まっている。少し前まで、就活は3月の解禁に合わせて3年生が年明けから始めるのが主流だったが、早期化の波が著しく、すでに内定が決まった2026年卒も現われている。いち早く内定を勝ち取りに行く大学生たちの今を追った。【前後編の前編】
2年の時にから「選抜コミュニティ」に
「就活ですか? 僕は2年の1月から始めました」
爽やかな表情でそう語るのは、スーツ姿からも知的な雰囲気が漂う東大生・翔太さん(仮名)。2026年卒の3年生で、すでにコンサルティング企業から内定をもらっているという。
翔太さんは外資系企業に勤める父親のもと海外で生まれると、中学からは名門中高一貫校で勉学に励み、現役で東大に入学。軽音サークルで仲間と音楽を楽しみつつ、国内外を旅行するなど、充実した学生生活を送っていた。そんな翔太さんが「遊んだ」のは2年生の前半まで。その後は遊びをセーブし、就活を見据えた対策を意識し始めたという。具体的には何をしたのか。
「僕は戦略コンサルティング会社志望で、他の業界にはあまり興味がなく、就活での失敗は避けたいなと。ただコンサルティング業界は選考が特殊だし、一緒に目指す仲間がいればモチベーションになるかなと思って、まず“選抜コミュニティ”に参加しました」(翔太さん)
聞き馴染みのない「選抜コミュニティ」とは、コンサルティング企業や外資系金融機関といった難関企業入社を目的とした就活対策塾のことである。志望理由書の添削や面接指導をはじめ、コンサルティング業界につきものの選考である「フェルミ推定」やケース面接対策などを行なう。募集枠や費用、細かい内容はそれぞれだが、特定の大学の学生しか受け入れない塾もあるなど、そもそも入塾選考がかなりハードだ。
「無料のものもあるようですが、僕が行っていたのは、15回の講座とディベート10回で30万円ぐらいのコースですね。戦略コンサルに入れたら1年目で年収700万円、5年目で1000万円を超える世界ですよ。それを見越した自分への投資と思えば、安いぐらいだと思いました」(同前)