巻き込まれてしまうと「すべてが中途半端に」
綾さんは「私の部活では、4年間部活に専念することを前提に計画的に留年し、大学5年目でやっと就職先を探す人もいるのに……」と、就活生の意識格差が大きいことを知って、驚きを隠せない。
「就活を早く始める人がいたら、他の人たちも巻き込まれざるを得ないのが現実だと思います。どうしたって内定者の数は決まっていて、その枠は基本的に早いもの勝ちなことが多いわけですからね。私はサークルや部活、興味のある授業の選択など、大学生ならではの活動を犠牲にする大学生活に疑問は感じますし、自分には真似できないと思いつつも、焦りを感じざるを得ないのは本音です。友人とは、『結局、すべての大学生活が中途半端に終わる』と嘆いています」
就活を終えた4年生がみっちり就活対策をするゼミも
大学の「ゼミ」といえば少人数で専門分野をより深く探求するはずの場だが、もはや就活対策を行なうケースもあるという。現在、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の3年生だという優希さんが明かす。
「私のゼミの3年後期は勉強じゃなくて、就活対策に充てるんです。就活を終えた4年生が3年生のES(エントリーシート)添削や面接対策をマンツーマンでしてくれます。毎週の課題は、指摘されたところを直してくること。ゼミといえど研究的な時間はまったくないし、むしろ就活対策狙いでゼミに入る子もいるくらい。早くから就活に向けた準備をするから、ゼミの先輩たちの就職実績も高いんです」
大学の存在意義である教育や研究から逸脱しているという観点では否定的な意見もありそうだが、優希さんは「大学生活は、長い就活期間みたいなものなのかな、と思うようになりましたね。キャリア支援が充実している大学は、“学生フレンドリー”と肯定的な声もあるぐらいです」と話した。
就活が早期化する中で、大学や大学生も戸惑いながら様々な対応を取り続けている状況がある。
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