「有効」な万引き対策は
とはいえ、店側も可能な限りの対策を講じている。それが効果を発揮し、Sさんの店舗でも現行犯逮捕に至った事例は少なくないという。
「万引きをする人はカメラの死角に入ろうとしますが、当然その死角は店側も把握しているので、注意を払っています。その他定期的にロスチェック(在庫ズレの有無をチェックすること)を行ない、ロスチェックの過程で万引きが発覚した場合、監視カメラで犯人を特定し、顔写真や服装の特徴などを全スタッフに共有します。
また、監視カメラの映像はリアルタイムでチェックしています。犯行を見つけた場合はすぐ警察に通報したり、私服スタッフが直接取り押さえたりすることもあります」
被害がなかなかゼロにならない万引きに、どう向き合っていくべきか。Sさんは「結局、いちばん好ましいのは万引きさせないことに尽きますが、その手段は機械ではなく“人”でしょうね」と話す。
「やまびこ挨拶(入店に気づいたスタッフがお客様に声をかけ、店内の従業員全員が同じ挨拶を繰り返すこと)の徹底や、日次業務として店内パトロールの実施などの防犯対策も行ないます。『このお店は万引きしづらいぞ』と思わせることが重要なんです」
レンタルビデオ店は、実物を手に取って選ぶ楽しみがあったり、希少性の高い作品を入手できたりと、サブスク時代においても貴重な場所だ。レンタル文化を脅かす“万引き”がなくなることを願ってやまない。