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なぜ飲食店で“太ったスタッフ”相手だと「デザートの注文率」が4倍に激増するのか

「接客業=スリムな人が多い」という固定観念を真っ向否定

 飲食店で働く人というと、なんとなく細身でスラっとしているイメージがある。私自身、昔からそう思っていた。たとえば、カフェで軽やかに動き回る店員や、レストランで機敏に注文を取るウェイターの姿を見ると、「忙しいから自然に痩せているのだろう」と感じるのだ。それとも、もしかすると採用時点で太り気味の人は避けられているのかもしれない。どちらにせよ、私たちの中には「接客業=スリムな人が多い」という固定観念が根付いている気がする。

 しかし、論文『ウェイターの体重』は、そんなイメージを真っ向から否定している。この研究では、「高BMIの接客スタッフ」が顧客の注文量に与える影響が大きいことを示しているのだ。つまり、「ふくよかな接客スタッフ」が売上を伸ばすカギになるという驚きの結論に達している。この結果は、飲食業界の常識を覆しかねない衝撃的な内容だと言える。

 この調査で得られた成果を一つずつ見ていこう。

【1】高BMIの接客スタッフが担当した場合、デザートの注文率が約4倍に増加し、アルコール飲料の注文量も17.65%増加した。つまり、ふくよかなスタッフがいればいるほど、顧客が食べたり飲んだりする量が増えるという結果である。

【2】スタッフのBMIは、デザートやアルコールといったメニューの注文には顕著な影響を与えたが、サラダなどのヘルシーな選択にはほとんど影響を及ぼさなかった。

【3】高BMIの男性スタッフが担当した場合、女性スタッフと比較してさらに注文量が増える傾向が確認された。

【4】顧客自身のBMIが高い場合、デザートの注文率が約4倍に増加する一方、サラダの注文には有意な影響が見られなかった。

 この結果から、論文では「ライセンス効果」という心理的メカニズムが提唱されている。つまり、客はスタッフの体格を見て「まぁ、この人もこれくらいだから、私もちょっとくらい多めに食べても大丈夫だろう」と無意識に感じてしまうのだという。特にデザートやアルコールの注文増加は、この効果の表れだとされている。

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