「コストを度外視してもいい選手」とは
守護神として29セーブを挙げた大勢は3400万円アップの年俸9000万円でサイン。2年続で10勝を挙げた山崎伊織は3900万円アップの年俸9000万円となった。プロ野球を各種データから分析した『データ・ボール』(新潮新書)の著書がある広尾晃氏はこう言う。
「高額年俸の選手は当然ながら、多少の活躍を見せても球団として“元を取る”のが難しくなります。ただし、コストパフォーマンス的な面をある程度、度外視してでもチームを支えてほしい主力選手というのはいる。巨人で言えば、今季復活したエース・菅野智之。今季の年俸は4億円で、登板1イニングあたり約250万円を払っている計算になり安くはないが、“それでも菅野に勝ってほしい”という考え方です。各球団で“お財布事情”は異なり、巨人やソフトバンクのような資金力豊富な球団ほどそうした傾向が顕著になる」
広尾晃氏協力のもと、今季一軍で登板した投手348人、一軍出場のあった野手319人のデータを解析した。各選手の年俸と成績をもとに打者は「1安打あたりの年俸」、投手は「1イニングあたりの年俸」を計算、ランキングにまとめたところ、打者部門で岡本和真はワースト100位(1安打あたり280.0万円)、丸佳浩はワースト139位(同191.8万円)だった。
来季も同じ水準の成績だと、年俸はアップしているので“採算”は悪化する。1億2000万円アップの岡本が仮に今年と同じ成績だと、今季のランキングに換算してワースト80位(同360.0万円)の水準になる。同様の仮定で丸はワースト130位(同219.2万円)の水準になるわけだ。今季、岡本は150安打、丸は146安打を記録しており、セ・リーグの最多安打(163安打)を放ったとしても、ランキングは今季より悪化する計算だ。それはつまり、数字では計りきれない部分、チームリーダーとして周りを引っ張っていく役割まで求められての増額ということなのだろう。