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快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

ホンダ「N-VAN e:」が見せた新世代アウトドアBEVのカタチ “走る蓄電池”としてキャンプサイトでも活躍必至

丸型LEDヘッドライトを採用した「e:FUN」。フロントグリルなどに廃棄バンパーを再生したサステナブル素材を採用して、より環境にやさしいEVイメージを際立たせる

丸型LEDヘッドライトを採用した「e:FUN」。フロントグリルなどに廃棄バンパーを再生したサステナブル素材を採用して、より環境にやさしいEVイメージを際立たせる

 ビジネスシーンで活躍する軽自動車の商用VAN。ところが2018年に登場したホンダN-VANは、抜群の積載性と使い勝手の良さから、一般ユーザーによるレジャーシーンでも活躍し、高い支持を得ている。そんな人気モデルをベースに、フル充電からの航続距離245kmを実現したバッテリーEV(以下、BEV)モデルとしてラインアップされたのが「N-VAN e:(エヌバンイー)」。ガソリン仕様で好評だった積載性や使い勝手の良さ、そして基本フォルムを損なうことなく、BEVならではの魅力を手に入れた新たな商用の軽BEV。自動車ライターの佐藤篤司氏によるシリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は「N-VAN e:」をレポートする。

ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」がBEVでも活かされている

 ホンダは「2040年までにEV・FCEV(燃料電池車)の販売比率をグローバルで100%にする」という目標を、その動きを着実に進めています。今回の「N-VAN e:」は、ホンダの電動化戦略にとって、重要な1台といえます。

 その開発のベースとなったのはガソリンエンジン仕様の「N-VAN」です。この商用バン、実際に使って見ると荷室スペースとして使用できる容量がかなり大きく、実用的で便利な使い勝手がありました。当然ながらビジネスユースの現場では支持率も高いのですが、その使い勝手の良さに一般ユーザーも着目、レジャーユースで重宝する存在として支持されています。広々とした荷室スペースはエンジン仕様と同じく、運転席以外のシート、つまり助手席と左右分割式リアシートの背もたれを前に倒すと床に収納できる「ダイブダウン機構」が付いていることで出現します。広々スペースには以前にもレポートしましたがホンダの「ダックス125」や「ハンターカブ」なども搭載出来ます。また床も低くフラットになるので、ソロキャンプの車中泊だって楽々とこなします。

 そこで懸念されたのがBEV化によって、この使い勝手がどれだけ犠牲になっているか? という点でした。一般的にBEVといえば、大きな駆動用バッテリーやIPU(インテリジェントパワーユニット)などを設置するため、車室空間や荷室が狭くなる場合があります。とくにボディの小さな軽自動車に設置すれば、床が高くなったり、突起物ができたりと、室内スペースが何らかの影響を受けるのはある程度では仕方なし、という懸念がありました。

 ところが「N-VAN e:」はその問題を、ホンダ特有の「センタータンクレイアウト」によってクリアできたのです。ガソリン仕様ではガソリンタンクのあったスペースに、薄型駆動用バッテリーやIPUなどを無理なく移植できたため、実用性の高さにほとんど影響を与えずに済んだのです。つまりBEV化にあたって、これまで確保していた荷室の奥行き、左右幅、荷室高などはほぼ変わらず、その最大積載量は300kg(エンジン仕様の4WDモデルと同じ)を実現。当然ながら低くフラットな床と広い荷室と、抜群の使い勝手を実現した「N-VAN」同様の使い勝手はほぼ同じ。

 技術解説のエンジニアが「荷室床面地上高(地面から床までの高さ)が15ミリほど高くなってしまいましたが……」と申し訳なさそうに説明していましたが、これも無視していいレベルです。

 運転席以外を床に格納すれば、車中泊には最適といえるほどのフラットな床面の荷室へと変身し、バイクや自転車だけでなく、レジャー用品を満載してドライブできます。また荷室のフロアなどにはビジネスのことを考え、タイダウンベルトやロープをかけることができるフックを合計8個装備。これがレジャー用品などの大きな荷物を固定して運ぶときにも重宝します。“積む”という事に関しては、広さも使い勝手も、エンジン仕様最大の魅力をBEVとなっても、しっかりと受け継いでいました。

次のページ:BEVとしての優位性が商用バンでより際立つ

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