「リスクマネジメントや資金管理が大切」など、投資とポーカーには共通点も少なくない。プロポーカープレイヤーとして活躍する一方、個人投資家としての顔を持つ木原直哉氏は、株取引とポーカーの似ている点を踏まえて、「プレーし過ぎない方が有利」と考える。
木原氏とエコノミストのエミン・ユルマズ氏との共著『「確率思考」で市場を制する最強の投資術投資』(KADOKAWA)より、前編記事では株式投資とポーカー共通点【1】~【3】を紹介したが、続く本記事ではさらに2つの共通点を紹介する。【前後編の後編】
株とポーカーの共通点【4】確定要素と不確定要素がある
木原:将棋や囲碁だったら盤面にすべての駒が見えているけど、ポーカーはわかりません。見えている情報を手掛かりに、見えていない情報を推測して戦う必要があります。
エミン:そこも株式投資とポーカーの共通点のひとつですね。それぞれに確定要素と不確定要素がある。
私たち投資家は企業側が開示している情報や公になっている情報を見て、投資するかどうかを決めます。ポーカーでプレーヤーに配られるカードをハンドといいますが、これは銘柄みたいなものですね。配られたハンドで必ず投資しなければならないわけではなく、ダメだと思ったら降りればいいし、降りる判断を少し先延ばしして様子見することもできます。
ポーカーのカードも、株価を左右する企業業績や外部環境も、プレーヤーや投資家がコントロールできるものではありません。私たちにできることは、賭けるか賭けないかを判断するだけです。それでも勝ち続けている投資家はいるし、木原さんのようにポーカーで成功する人がいるわけですから、どちらも勝てる人は勝ち続けられるようになっているんですよね。
木原:運だけで短期的に勝てることはあっても、それは長くは続きません。勝ち続けるにはスキルを上げていくことが必須である点も、共通していますね。
エミン:まさにそこが、ポーカーと株式投資を面白いと感じる人が多い理由でもあります。
運だけのゲームは面白くないし、かといってスキルに100%依存するゲームなら、戦う前から勝敗が見えてしまいますからね。確定情報と不確定な情報がミックスしているところに、プレーヤーを惹きつける魅力があるんです。