2024年からスタートした新NISAを背景に投資へ興味を持ち始めた人も少なくないだろう。中には一攫千金を夢見た投資を目指す人もいるかもしれないが、「下手なトレードを繰り返したりしないで、分散して放置しておくのが多くの人には最適解だと思います」というのはプロポーカープレイヤーで株式投資家でもある木原直哉氏。
ポーカーと株式投資の両方で“勝つことの難しさ”を知る木原氏の投資観はどのようなものか。木原氏とエコノミストのエミン・ユルマズ氏との共著『「確率思考」で市場を制する最強の投資術投資』(KADOKAWA)より紹介する。
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エミン:株とポーカー、どちらの方が難しいと思いますか?
木原:どのぐらいのレベルで話をするかでまったく違うと思いますが、打ち続けてトータルでお小遣いになる程度を稼ぐなら、カジノでポーカーをする方が簡単じゃないでしょうか。日本国内ではお金を賭けることは禁じられているので、そのためにわざわざ海外のカジノに行かなければならないという問題はありますが、ある程度の実力があれば勝てます。
ただポーカーでは、小遣い稼ぎのレベルと、生活できるお金を稼ぎ続けるレベルまでの距離はものすごく大きいのです。ポーカーの場合はレートを上げると対戦相手のレベルが跳ね上がるのでプロを目指すのはハードルが高い。株でもコンスタントに稼ぎ続けるとなるとかなり難しいと思いますが、ポーカーよりは生活費を稼ぐことができるまでの難易度は低いように思います。
エミン:株取引もポーカーも、億万長者を目指すというのは極めて難しく、ごく限られた人にしかできませんが、そこまで求めなければ、株の方が難易度が低いと思います。
なぜなら、株の方がプール(取引量や市場規模)が大きいからです。たとえば私がありったけのお金をラスベガスに持って行ってポーカーで倍にしようとしても、お金を持っているゆるいプレーヤーと同じテーブルに座れるとは限らないのでうまくいかない可能性が高い。あるいは、少ない魚を大きい鯨が奪い合うような世界が私を待っているかもしれません。
これに対して、株式市場は歴史的に見れば平均して年10%ほどの上昇を続けていて、常に富が作られ続けています。好不況の波や様々な要因の影響を受けるにしても、シンプルな投資をしていれば株でそこそこ勝つのはそんなに難しくない。ポーカーは楽しむ分にはいいけれど、大きく勝つにはやっぱり木原さんのような特別な頭脳が必要なんですよ。