普通の人が何十億円も稼ぐことを運用の目的にしたらだめ
木原:僕はポーカーだけでなく、将棋や麻雀、バックギャモンなどほかのゲームも好きなんですが、将棋でプロになるのは自分には想像がつかない世界です。
麻雀は今でこそMリーグができてプロとして生活できる世界になってきましたが、15年前はまったく想像できませんでした。バックギャモンは世界的なゲームなので生活できる可能性はありますが、それでも動く金額がはるかに小さいので、ポーカーが一番簡単で稼ぎやすいと判断したんです。株もポーカーも、頭脳ゲームの中では比較的簡単に生活できるものだと思います。
エミン:そもそも、普通の人が仕事を辞めるとか何十億円も稼ぐことを運用の目的にしたらだめなんです。それを目的にしたら99%負けます。多くの人にとって、資産運用の最適な目標は「人生にバッファ(ゆとりや余裕)を持つこと」です。仕事以外でも、お金を増やせる手段を持つことで資産を増やすことができる。それが心に余裕をもたらして、日々の生活を豊かにすることができるんですよ。
木原:勤めている会社に不満があるとか、嫌な上司に悩まされていたとしても、その会社を辞めたら翌日から食べていけなくなる人と、転職して年収が減ったとしても生活できるという人では、感じ方はまるで違うでしょうからね。
エミン:そう、ストレス源は同じでも、いつでも辞められると思えば、実際にかかる負荷は小さくなるんです。また、「40代になってから思いがけず子どもを授かった」とか「子どもが医学部に合格した」なんて思わぬ幸せが訪れたときでも、こうしたバッファがあれば、お金のことで不安になることなく素直に喜べますよね。
だから私は、たとえ投資で億り人になったとしても、安易に仕事を辞めてはいけないと言っています。それだけあれば、しんどい仕事にしがみつかなくても、余裕を持ってできる仕事に転職もできるでしょう。一生働かなくて済むには1億では足りないけれど、10億を目指すと難易度が高過ぎて逆に不幸になることもあります。
だったら、1億円を運用しながら、ストレスの少ない仕事に転職するとか、住宅ローンを返して日々の暮らしに余裕を持たせる方がずっと実現可能性は高いし、人生が充実するはずなんです。