Aさんのようにストレートな聞き方をすると、「財産を狙っているのか」と心を閉ざしてしまうケースが少なくないと中田氏は指摘する。
「親の気持ちに寄り添い、オブラートに包んで伝えましょう。そこで重要になるのが、母親を味方につけること。両親が健在の場合、母親に『お父さんが亡くなったら、ひとり残されるお母さんが心配。そろそろお父さんと相続について話してみてよ』と水を向け、両親が相続を話題にするように促すのです。
自分本位ではなく、あくまで老親を心配し、子としてできるだけサポートしたいという気持ちを伝えることが大切です」(中田氏)
相続税の有無から確認
相続の話し合いに進んだ後、次のハードルとなるのが「親の財産」についての聞き取りだ。税理士法人ブライト相続代表の天満亮氏が語る。
「いきなり財産の額を聞くのではなく、相続税が発生するかどうかを問うとハレーションが起きにくい。まずは『親父にもしものことがあったら、俺たちは相続税に困らないかな?』と聞いてみましょう。これで相続税がかかるほどの遺産があるかどうか、おおよその見当がつきます」
相続税は遺産総額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」まで非課税となる。法定相続人が母と子2人なら4800万円まで非課税なので、相続税が発生する場合はそれなりに多額の財産が残されていることになる。
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