手数料が高いほうへ
パソコンやスマホの操作が不得手な人の場合、対面で相談できる窓口のある大手証券会社は安心感が高かった。しかし、信頼のおけると思っていた証券マンが事件を繰り返している現実がある。
「流石に凶悪犯罪に及ぶのは例外中の例外と思いますが、顧客にとって証券マンの存在がリスクになる可能性は否定しがたいでしょう」と元証券マンが明かす。
「かつては厳しいノルマに追われ、顧客の資産を次々と回転売買させることが問題視されました。ただ、今はノルマはほぼない。とはいえ、社員の評価基準のひとつとして、いかに顧客から手数料を取ってくるかはどうしても含まれる。それがノルマではないとしても、出世のスピードが違ってくる現実もあるでしょう」
顧客の資産形成は後回しで、少しでも手数料が高い商品を売り込まれる懸念があるというのだ。
「たとえば、複雑なデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ『仕組債』などは明らかに初心者向けではないのに、手数料が4~5%も取れるので、証券会社などで無理な販売が横行した。運用次第で受け取り額が変わる『変額年金保険』も手数料が5%のものがあり、最初にそれだけの手数料が引かれてしまうと大きく増えにくい」(同前)
本来、そのような商品は金融商品取引法によって投資経験の乏しい人を勧誘してはならないため、違反した金融機関が業務改善命令を受けたケースもある。