予算に合わせてメニューを選べる
近年の松屋のメニューには、ジョージア料理のシュクメルリ鍋を筆頭に、マレーシア風牛肉煮込みのルンダン、リトアニア風ホワイトソースハンバーグなど、世界各国の料理を松屋風にアレンジしたものも増えている。前出の小浦氏が解説する。
「松屋は、牛丼チェーンの中でも特に個性的なメニューが多い。基本的には和食がベースですが、ごはんに合う料理であれば、どこの国のものでも取り入れる。同じ牛肉やハンバーグを異なるソース、味付けで提供するというメニューも多く、上手く工夫してバリエーションを増やしています。
ただ、最近ではビーフシチューの牛肉、ホルモン、炙りチャーシューなど、定番メニューでは使っていない素材を提供する限定メニューも増えている。その分、価格が高くなることも多く、だからこそ1000円超えのメニューが増えているわけですが、個性的でおいしいメニューも多い。ユーザーを飽きさせることなく、選択肢の幅の広さで戦う松屋の姿勢が見えていると思います。
もちろん、定番メニューの多くが1000円前後まで値上がりすれば、さすがに高いというイメージになるでしょう。しかし現状では、430円の『牛めし』や480円の『オリジナルカレー』というリーズナブルな定番メニューがあったうえで、800円台の定番定食メニューや1000円前後の期間限定メニューがある。予算に合わせてメニューを選べるのは、松屋の大きな魅力です」
牛丼チェーンに“安さ”を求めるユーザーが多いのは事実だが、そこではない魅力を求めるユーザーもいる。松屋の1000円超えメニューは、牛丼チェーンの新たな魅力を切り開くものとなっていくのかもしれない。