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キャリア
「人生の壁」を越える

【和田秀樹氏インタビュー】幸せを感じながら老後を生きる「幸齢者」になる道 条件は「無理に病気を見つけない」、「“できないこと”より“できること”に意識を向ける」

幸せな老後を生きるにはどうすればよいか(和田秀樹氏。写真/共同通信社)

幸せな老後を生きるにはどうすればよいか(和田秀樹氏。写真/共同通信社)

 健康、お金、家族や親族との関係……歳を重ねると数々の「人生の壁」が立ちはだかる。この壁をどうやって乗り越えればいいのか――。誰もが悩む問いに、人生の苦楽を知り尽くす、医師の和田秀樹氏がアドバイスする。

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 歳を重ねても健康に生きていくための秘訣は何か。よく聞かれる質問ですが、長年高齢者医療に携わってきた経験からすると、答えはとてもシンプルです。それは病気を過度に恐れないこと。言い換えれば「身体に気を配りすぎない」ことです。

 私は幸せを感じながら老後を生きる「幸齢者」という概念を提唱していますが、無理に病気を見つけないことが「幸齢者」の条件だと考えています。

 その最たるものが検査です。病気の早期発見のために健康診断や人間ドックを受け、数値に一喜一憂する人は多いでしょう。そして検査で何かしらの“異変”が見つかると、「正常値(基準値)」に近づけるために薬を処方される。高齢になると1日10錠以上の薬を服用するケースもザラです。

 ところが高齢の医師のなかに、たくさん薬を飲む人はほぼいません。それは薬の副作用の恐ろしさを知っているからです。

 服用する薬が5種類以上になるとふらつきによる転倒リスクが40%も高くなるというデータがあります。これにより骨折し、寝たきりになるケースもある。本末転倒です。

 そもそも健診や人間ドックの「基準値」には、医学的根拠がないものも少なくありません。

 例えばコレステロール値は、「基準値より上のほうが長生き」というデータが多数存在します。コレステロールは細胞膜や性ホルモン、脂質やタンパク質の消化・吸収を助ける胆汁酸などの材料になるもの。数値を下げすぎてしまうと不調や意欲低下、うつ状態を招く場合もある。

 ある程度歳を重ねたら、「高い」よりも「低い」ほうが危険なケースがあるのです。

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