金融政策の舵取りによって物価の安定を目指す日本銀行は、“物価の番人”とも呼ばれる。庶民が苦しむ急激なインフレを退治できないなかで、その日本銀行の職員たちはどのような好待遇を享受しているのか。【全3回の第1回】
2025年は金利がどこまで上がるか注目される。日銀による政策金利の引き上げは既定路線。専門家の間には将来的に政策金利が2%前後まで上がるとの見方が強い。
利上げが進めば株価が下がる。植田和男・日銀総裁の追加利上げ発表をきっかけとした2024年8月の株価大暴落は記憶に新しいが、株価以上に心配なのは国民生活への直接的な影響だ。経済評論家の荻原博子氏が指摘する。
「日銀の利上げは景気を冷ます、不景気にする政策です。わかりやすいのは住宅ローン金利が上がる。ゼロ金利時代に変動型で住宅ローンを借りた人が多いが、残債5000万円なら、金利が2%上がれば月々の返済は5万円ほど増える。
返済計画の見直しを迫られるでしょう。しかも、利上げは円高を招くので、輸出企業の収益が下がる。賃上げも進まなくなる可能性があります。物価上昇は多少抑えられるかもしれないが、資源高は続いており、それに伴う値上げは続くと考えられる」
日銀の金融政策の舵取り次第で国民は生活に深刻な影響を受ける。
では、日銀の職員はどうなのか。日銀は日本銀行法で設立された認可法人で、政府が55%を出資、40%は個人株主、残りは金融機関などが出資している。職員は公務員ではない。