チャートのトレンドと金融政策の転換点の相関関係
2020年以降のナスダック総合指数の日足チャートを振り返ってみましょう。
コロナショック(2020年3月)後、ゼロ金利政策がスタートしました。この時期には、大規模な金融緩和が実行され、「過剰流動性相場」とも呼ばれる局面が訪れ、株価は大きく上昇しました。
それが下落に転じたのは2021年11月のことです。この時期、FRBがテーパリング(量的緩和策による金融資産の買い入れ額を段階的に減らすこと)を発表し、金融政策の転換が意識され始めたのが要因でした。
その後、大底をつけたのは2023年1月でした。このタイミングでは利上げが継続していたものの、米国市場のCPI(消費者物価指数)がピークアウトし、インフレが次第に落ち着いてきた時期でもあります。その後、株価は上昇トレンドに転じ、利下げ局面に入ってからも上昇が続き、直近では史上最高値を更新する場面が見られました。
長期上昇トレンドの中での下落局面入りの可能性
筆者は、短期的には「調整」、長期的には「押し目買いの好機」と考えています。まず前提として確認したいのは、ナスダック(および他の主要指数もほぼ同様)が長期の上昇トレンドにあるという点です。
先程のチャートの図では、「上昇チャネルライン」が示されています。このチャネルは、主要な安値(2020年3月)と安値(2023年1月)を結んだ上昇トレンドラインを基準に、その間の高値(2022年11月)に平行に線を引いたものです。
上昇トレンドラインは、トレンドの方向性や角度、次のサポートライン(下値支持線。付近に来ると下げ止まって反発する値)の目安を示すに過ぎませんが、チャネルラインを引くことで上値の目安も明らかになります。
ナスダックは、この上昇チャネルラインの上値抵抗線に触れた後に下落へ転じているため、現状ではこのチャネルライン分析の有効性が高いと考えられます。つまり、短期的な下落局面入りの可能性が考えられます。また、この動きが利下げ回数減少という金融政策の転換点と重なっている点も、この可能性の高さを裏付けています。