情報に振り回されている時点で“負け”の実感
就活は“競争”だ。他の就活生を蹴落さなくては、限られた正社員の枠を手に入れることはできない。そんな就活生たちが自分と似たような境遇の就活生がいないかと助けを求めるのがSNSだが、そこにこそ落とし穴がある。前出・Sさんが続ける。
「専門用語に戸惑ったという投稿はあるっちゃあるけど、それよりも『就活で知っておくべき頻出ビジネス用語集』といった用語情報を垂れ流すアカウントが多数出回っているのを目の当たりにして、余計焦ったのが正直なところでした」
Sさんが目にした情報の多くは、就活アプリや就活支援アカウントが発信しているもの。Sさんは、「最初からこういうアカウントの情報を元に、ビジネス用語を勉強している人がたくさんいることを知り、負けたと思った」と言う。
「いろんなビジネス用語を勉強しても、実際に仕事をしているわけでもないし、社会人の人からしたら所詮どうということもないレベルだろうなと思います。でも、知っておかないと議論に参加できず、グルディスとかグループ面接も通らない。勉強する人が少しでもいれば、最初違和感を抱いている僕のような人間も勉強せざるを得なくなるんです。正直いって、ノウハウ(笑)にうんざりしつつ、振り回されている時点で、僕の負けです。本当にそれらのビジネス用語は、“知っておかなくてはならない”ことなのでしょうか……」(Sさん)
さまざまな「勝ちノウハウ」が拡散し続ける今の時代。Sさんは「学生時代に力を入れたことは就職活動、ってことになりそうです」とため息混じりに笑う。