相手の顔を浮かべながら書くのが楽しい
Aさんの父も昨年末には60枚ほどの年賀状を出している。それでも前年からはだいぶ減ったという。
「年齢も年齢なので、亡くなった同僚や同級生も多い。年賀状を出しても返事がないケースも増え、そういった相手には出さなくなったそうです。前年は80枚くらいの年賀状を出していて、今回は60枚程度とのこと。出す年賀状が減っていくのは寂しいと話していました」
ここ数年、Aさんの父は、手書きで年賀状を書いているという。
「働いていた頃は何百枚もの年賀状を印刷していましたが、いまは全部手書き。メッセージの内容も全部違います。相手の顔を浮かべながら書くのが楽しいそうです」
毎年12月になると、年賀状を書き始めるというAさんの父。80代の高齢者にとっては、やりがいのある作業になっているようだ。
「父はがんで何度か手術もしていて、かなり体力も衰えている。毎日散歩をしていますが、遠くまでは行けず、家の中でテレビを見て過ごす時間が長くなりました。そういったなかで、年賀状を手書きで書くという作業は、頭も手先も使うということで、いい刺激になっているみたいです。
毎年12月は、じっくり時間をかけて年賀状を書いているので、とても充実していると話していました。すでに年賀状から離れている私自身にとっては、面倒な習慣だと感じる部分もありますが、父の姿を見ていると、豊かな時間があることに気付かされます」
世の中の年賀状離れが進む一方で、年賀状を出すという習慣を大切にしている人もいる。来年配達される年賀状は、一体どのぐらいになるのだろうか。