【3】積立
3つ目のキーワードは、「積立」です。
これは「長期」と「分散」と同様、非常に重要な考え方です。
●投資は「感情に左右されない工夫」が必要
あなたは日常的に、値上がりしている商品は購入を控え、値下がりしている商品は多めに買う、という消費行動をしていると思います。人間として、至極当たり前な行動です。
しかし、これがこと金融商品になると、その「当たり前の行動」を取れなくなるのも、また人間なのです。
「損をしたくない」という人間の本能的な感情から、本来は相当値上がりしている割高な株を、「もっと上がるのではないか」と期待して買ってしまったり、本当は値下がりしている割安な優良株を、「もっと下がるのではないか」と売ってしまう人が多くいます。
この「損をしたくない」という人間の感情は、「プロスペクト理論」という行動経済学の理論をもって証明されています。
ここで、みなさんに質問です。
A :100万円が無条件で手に入る
B :コインを投げて、表なら200万円手に入るが、裏なら1円も受け取れない
この2つの選択肢を提示されたとき、あなたはどちらを選ぶでしょうか。
多くの人は、Aの選択肢を選ぶそうです。しかし、期待値はどちらも100万円。では、どうしてAの選択肢を選ぶ人が多いのでしょうか(と言いながら、私もきっとAを選びます(笑))。
これは、人間は「得をすること」を喜ぶ以上に、「損をすること」を恐れる傾向があるからです。たとえ200万円を手にできる可能性があっても、1円も受け取れない、つまり「損をする」恐怖から、Aの選択肢を選ぶのです。
こうした本能的な感情に揺さぶられないために、積立投資が効果を発揮します。
積立投資とは、たとえば「月に一度」などの決まった間隔で、同じ金額をコツコツと投資に充てていく投資戦略です。これにより、株価(価格)や為替相場などの一時的な動きに左右されず、淡々と資金を積み立てることができます。
ここで心強いエビデンスをご紹介します。金融庁のNISAの解説資料では、国内外の株式・債券に長期・積立・分散投資をした場合、20年継続(1989年以降のデータ)すると勝率がほぼ100%になるというデータを公開しています。その間にリーマン・ショックがあったのにです。それくらい、長期・分散・積立は強力な投資戦略なのです。