正月恒例の箱根駅伝は、今年も瞬間最高視聴率が30%を突破。開催時期が受験シーズン直前ということもあり、学生を集めたい大学にとって絶好のアピールの場にもなっている。今や駅伝の強化は大学の経営戦略の一環とも言える。
「箱根駅伝は100年を超える歴史を持ちますが、1989年に完全テレビ中継が始まり、大会の様相は一変しました。それまでは関東のローカル大会といった雰囲気でしたが、全区間を通じて視聴率が20%台を記録するようになると、宣伝効果を狙って駅伝に力を入れる学校が次々と登場。1990年代の山梨学院や神奈川、2000年代の駒沢や東洋、近年では青山学院が陸上部の強化を図り、その効果もあってか、志願者も増えています」(スポーツ新聞記者)
箱根駅伝の中継は往路と復路を合わせて約15時間。新聞や雑誌の特集やスポーツニュースに加え、近年は優勝チームがバラエティ番組に呼ばれることもあり、それら全てに大学名が映し出されれば、広告効果は計り知れない。長丁場の中継を飽きさせないために、中継を担う日本テレビは様々なテクニックを駆使している。
「箱根駅伝で中継カメラが重点的に追うポイントは3つ。優勝争いをするチームを映すのは当然として、残り2つは“シード権争い”と“ごぼう抜き”です。優勝争いは早々に決まることもありますが、翌年の出場権を得るシード権(10位以内)や、区間賞も大きく取り上げることで、なるべく多くの選手にスポットライトが当たるようになっている。様々なドラマを演出することが高視聴率の秘訣です」(週刊誌スポーツ担当記者)
3位~7位は空気のような存在になりがち
そうしたポイントとは別に延々とカメラが回されるのは「大ブレーキ」と「途中棄権」だが、こちらは不幸なアクシデントで、期待するものではない。一方で、中継時にはエアポケットのようなポジションもあるという。
「なかなかテレビに映らないのは、優勝争いから脱落したものの、シード権はしっかり確保したチームです。今大会でいうと3位の国学院から7位の創価まで。5位の中央は往路で先頭を突っ走ったので、しっかりインパクトを残しましたが、3位の国学院、4位の早稲田、6位の城西、7位の創価は空気のような存在でした。
最後の方も映らないように思われますが、遅れたチームは繰り上げスタートでタスキが途切れるピンチがあり、このドラマも箱根駅伝の大きな見どころ。後方のチームまでしっかり見届ける姿勢も、箱根駅伝が広く受け入れられる理由でしょう」(同前)