2022年頃、「ストレス緩和」「睡眠の質向上」を謳う機能性食品として人気に火がつき、店頭では品切れが続出、フリマサイトでは高額取引されるなど、社会現象にまでなった「ヤクルト1000」シリーズ。現在は店頭で“普通”に並んでいるし、SNS上でも特に話題にのぼることは少なくなった。X上には《もう誰もヤク1000の話しなくなった》という声もあり、一過性のブームにすぎなかったのか──と思いきや、実際はその後も売れ行きを伸ばしているという。
「ヤクルト1000」シリーズは、2021年4月に全国展開した宅配専用商品「Yakult1000」と、同年10月に全国販売を開始した直販専用商品「Y1000」の2種類があり、店頭で見かけるのは「Y1000」の方だ。株式会社ヤクルト本社(以下、ヤクルト)によると、2024年9月時点で「Y1000」の1日当たりの売上数量は107万8000本と、2023年度の102万2000本を上回った。また、「Yakult1000」の1日当たりの売上数量は196万7000本で、ブームとなった2022年から毎日平均200万本前後の売上を維持しているという。
大ヒット、かつロングセラー商品として定着させるまでの背景について、ヤクルト広報室の柳裕嗣さんに話を聞いた。
まずはビジネスパーソンに訴求
「ヤクルト1000」シリーズが爆発的ヒットとなったのは、2022年初頭のこと。それより前からサカナクションの山口一郎や、ぼる塾・田辺などの芸能人が“睡眠の質を高めるために愛飲している”ことをXで公言していたが、同年4月に放送された『しゃべくり007』(日本テレビ系)でマツコ・デラックスが「飲んでからぐっすり眠れるようになった」「毎日2本飲んでいる」などと発言したことが起爆剤となり、またたく間に大ヒット商品に。以来、売上は右肩上がりが続いている。
実際、睡眠に悩んでいる日本人は多い。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した「睡眠に関する調査(2024年)実態編」によると、「眠りが浅い」「睡眠で疲れが取れない」「日中眠くなる」と回答した人はそれぞれ6割前後に及ぶ。そういった睡眠の悩みを抱えている人たちに「ヤクルト1000」シリーズが受け入れられたわけだ。ヤクルト・柳さんはこう語る。
「『Yakult1000』は“乳酸菌シロタ株”が1mlあたり10億個含まれており、一時的な精神的ストレスがかかる状況での『ストレス緩和』や『睡眠の質向上』の機能があります。お客様からは、『目覚めが良くなった』『夜中に目が覚めなくなった』などのお声をたくさんいただいています」(柳さん、以下同)