一時金と年金の組み合わせで受け取る方法も
改正により、支払う税金がどの程度変わるかシミュレーションしてみましょう。
60歳のとき、1200万円(加入期間25年)をiDeCoで一時金として受け取り、65歳で退職金1800万円(勤続35年)を一括で受け取る場合、現行では支払う税額は4万円ですが、改正後は約128万円となり、なんと124万円もの違いがあります。
ただ、期間延長の影響を大きく受けるのは、退職金が多い人や、企業年金が充実している人たちで、そもそも退職金がない自営業やフリーランスの方については、ほとんど影響はありません。それよりも掛け金の上限が引き上げられるメリットのほうが大きいと思います。
影響を受ける人は、なるべくその影響を抑えるための工夫をしましょう。
iDeCoを一時金ではなく年金として受け取ることで、退職所得控除を使わず、公的年金等控除を活用することができます。
退職金で、退職所得控除枠を使い切らない場合は、iDeCoの一部を「一時金」で、残りを「年金」で受け取ることで控除を最大限活用できます。
どのように受け取るのが有利かは、受取額や個人の状況によって異なるため、難しいと感じる方は専門家に相談するのも一案です。
ひとつ確実に言えることは、iDeCoの加入年数が20年を超えると控除額が大きくなるので、期間を伸ばすためにも掛け金は少なくても早く加入すると有利になることです。難しそうと感じて後回しにしている人は、2025年こそiDeCoデビューしてはいかがでしょう。
今回のまとめ
・税制改正でiDeCoの受け取り時に税負担が増える可能性がある
・「一時金」「年金」「一時金+年金」の最適な受け取り方を選ぼう
・20年以上の加入で控除額が有利に!早めの加入がお得
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。