長期の銘柄選択のポイントは「企業価値」の伸びしろ
とはいえ、米国株なら何でも良い訳ではありません。銘柄選定にあたり大切な視点に触れておきます。株価は長期では「企業価値(企業がどれだけ儲けられるか。儲けを伸ばせるか)」に連動します。ゆえに、企業価値が上がっていく銘柄を探すことです。以下の5つが選定のポイントです。
(1)市場が成長する業界
市場が成長しないことには、企業は供給を増やせません。企業研究も大切ですが、その前に有望な業界を理解しておくことが大切だと言えます。世界の人口は増えていくし、人間は便利を追求し続けるため新しい需要が生まれます。需要が増える、市場が拡大する業界が有望です。たとえば食品、日用品、IT、AI、半導体、ヘルスケアなどは需要が増えていくと思われます。
(2)シェアが上位である
業界シェアが1~2位の企業を選びましょう。価格競争力があるからです。下位を選ぶ理由はありません。ただし、シェアが3位以下でも、特定の分野でニッチに稼ぐ力が強い企業なら有望です。
(3)増収増益
増収増益、つまり売上高が伸びて利益も伸びている企業を選びましょう。利益は本業での利益を示す営業利益、そして1株当たり利益を見てください。株価は長期では1株当たり利益に連動します。1株当たり利益がたびたび赤字になる企業は避けましょう。
(4)営業利益率が20%以上である
業種にもよりますが、おおむね営業利益率が20%あれば事業がうまくいっていると評価できます。稼ぐ力のある企業を選んでください。
(5)真似されない事業である
他社が容易に参入できないビジネスモデルかどうかを確認しましょう。投資の世界では、これを「参入障壁が高い」と言います。逆に、今が好調であれ他社からすぐに真似されるような事業であれば投資しないほうが安全です。やがて価格競争が起き、利益率が下がり儲からなくなります。今は好調な株価もゆくゆくは下がるでしょうし、配当金も減配や無配となる可能性があります。
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こうしたポイントを踏まえ、具体的にはどのような銘柄に注目すべきか。別記事〈【億り人が注目の米国株5銘柄】資産1.8億円のおけいどん氏が厳選「トランプ政権誕生後も長く持ちたいブランド力のある配当株」〉では、おけいどん氏が個別の注目銘柄を解説している。
【プロフィール】
桶井道(おけい・どん):個人投資家(投資歴26年)・物書き。1973年生まれ。世界中の優良株・ETF等を約100銘柄保有し、高配当株および増配株を買ったら放置する「ぐうたら投資」を極めてから資産成長を加速させる。2020年に資産1億円とともに退職して自由となり、2024年にはピークで資産1.9億円に到達。著書に『資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』(PHP研究所)など、5冊。