「都会の事実=全国の事実」のようになってしまうことが多い
メディア業界で働く者としての自戒も込めて言いますが、東京発のニュースが全国に流れるものだから、「都会の事実=全国の事実」のようになってしまうことが多いと感じます。たとえば、南海トラフ地震への備えや台風など天候不順が原因とされる昨年8月の「令和の米騒動」ですが、テレビがスーパーを取材し、空っぽの米の棚を映したことも影響し、全国で米が売り切れる事態になりました。「もうすぐ新米出るから慌てなさんな」なんて冷静な意見は聞く耳を持たれず、「備蓄をしなくては大変なことになる!」と米を買い占める人が続出したのです。
当時はペットボトルの水も軒並み売り切れになりました。アマゾンですら注文ができない状況で、東京に数週間出張で滞在していた私の妻は水を買うことができず、水道水をペットボトルに入れて飲んでいました。
米についてですが、米の生産が盛んな唐津ではスーパーの棚から米がなくなったのを見たことはありません。知り合いに米農家がいる人も多く、市価よりも安く仕入れることも可能なんですよ。30kg単位で「ほら、この玄米持って行きな!」なんて農家から言われることすらある。だから、米不足とキャベツ高騰については「全国的な扱いのようにしないでもらえるかな……」とも思います。豊富に在庫がある場所も取材をし、そこの情報もメディアは流すべきでしょう。
2020年、コロナ騒動初期の頃、「トイレットペーパー不足問題」が発生しました。鳥取県米子市の「米子医療生活協同組合」職員が「トイレットペーパーなどの製造元である中国が生産をしていないので品薄になる前に購入したほうがいい」などとSNSに投稿。その後、中央のメディアがトイレットペーパー不足の店を取材し、実際は豊富に品物が揃っていた店ですら行列ができて本当に売り切れてしまいました。騒動を受けて同組合は謝罪をしましたが、まぁ、テレビの方が影響力は大きい。この職員を一方的に悪者にしない方がいいです。