地方から世界に直接アクセスする
具体的にすべきことの2つ目は、企業経営を「人口減少対応型」に変更することだ。30万人商圏を維持していくには、30万人が食べていけるだけの雇用の創出が不可欠である。
国内マーケットが縮小していく中で地方企業が成長を続けるには、大企業に頼ることなく外国マーケットと直接アクセスすることである。それには外国マーケットが求める商品やサービスを生み出すことが求められる。
そして、外国マーケットに活路を見出す企業は商品開発からマーケティング、販売、貿易実務などに至るまで、すべての業務を地方企業自身で行うことも必要だ。こうした経営モデルの企業は、さまざまな専門能力を持った人材が必要になる。世界的に必要とされる特化した企業となれば、大都市はもとより世界各地から高度人材が必然的に集まるようになる。
横並び意識の強い日本では、すぐに成功事例の横展開を求めたがる。これまでの地方創生も例外ではなかったが、人口減少社会においてはこうした発想も捨てる必要がある。
求められるのは、30万人商圏がそれぞれ他地域やよその企業が簡単に真似できない特長を「強み」として持つことである。「強み」を武器として世界に知られたエリアになれば、商圏自体が高い付加価値を持つ。投資や高度人材を取り込みやすくなり、勝ち残る可能性も格段に高まる。
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