他方、「墓を維持し、自分たちもそこに入る」という選択肢もある。
「墓は先祖とのつながりを感じる大切な場であり、同意を得ず墓じまいすることで親戚との関係が険悪になるケースも。今は墓の掃除代行や管理サービスがあり、墓じまいしないという決断もひとつ。
ただし、放置して無縁墓にするのはお寺にも迷惑になるので、体力が衰えてきたら代行サービスを使うことも選択肢に入るでしょう。その間に親族と相談して継承者を決めることが重要です」
安易な直葬は注意
墓と同時に準備を進めたいのが「葬儀」だ。
「多くの場合、亡くなってすぐに葬儀場を決めなくてはならず、葬儀社の言うがまま、満足度の低い葬儀になりやすい。元気なうちに本人がどういった葬式にしたいのか決めて、葬式に来てほしい人のリストを作っておけば家族に迷惑がかからないでしょう。墓選びと同じで70代前半のうちに葬儀についても考えましょう」
近年は通夜や告別式を行なわず火葬だけで済ませる「直葬」が割安だとして選ぶ人が多いが、安易な選択は注意が必要だ。
「広告で“直葬8万円”などと謳っていても実際にはセレモニー以外の会食代やお布施などで20万~40万円ほどかかったという実例があります。後悔しないためにも生前に希望する葬儀場の見積もりを取っておくことです」
墓と葬儀は終活の仕上げとも言える。後悔しないように準備したい。
※週刊ポスト2025年1月31日号