5年に一度の年金制度の見直しが進められているが、今回の改正で「夫婦の年金戦略」は大きく変わる。会社員の配偶者が保険料を払わずに国民年金に加入できる「第3号被保険者」を縮小するため、政府は厚生年金加入をめぐる「年収106万円の壁」を撤廃する見通しなのだ。保険料負担増の制度改悪に見えるが、逆手に取るテクニックも存在する。【前後編の前編】
「週20時間未満勤務」でいいのか
政府は年金改正で厚生年金の加入要件の一つ、「106万円の壁」を撤廃する方針だ。
これによって会社員の配偶者でパートタイマーとして働く人の年金プランの選択は大きく変わる。
現行制度では、「従業員51人以上の事業所」で、「週20時間以上」勤務し、「年収約106万円以上」の人は厚生年金に加入しなければならない。
今回の改正ではこのうち企業規模と年収要件が撤廃され、どんな小規模な事業所で年収106万円を超えないように働いたとしても、「週20時間以上」勤務すれば厚生年金加入が義務づけられる(図参照)。
会社員の夫に扶養される第3号被保険者として「106万円の壁」を超えないようにパートなどで働き、自分で年金保険料を払わなくても国民年金に加入できていた妻たちには大打撃だ。「壁」が撤廃されて厚生年金に加入した場合、自分の給料から厚生年金保険料などが天引きされ、手取りが大きく減るのだ。
どのくらい減るのかを簡易的に試算してみた。