Z世代のタイパ重視の価値観に驚きの声も(イメージ)
世代が違えば、価値観も異なる。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんは、効率を求めるZ世代に驚くことも多いという。60代のオバ記者が、Z世代について思うところを綴る。
タイパ重視で歩き食べするサラリーマン
片手にドリンク、もう片方の手に鶏の唐揚げ。それぞれを交互に口に運びながら、昼下がりのビジネス街を足早に歩くサラリーマン。最近、東京駅周辺を散策することが多い私は、そうした光景を目にするたび、すごく違和感があるの。
くたびれた中高年が缶ビール片手に夜の街を千鳥足で歩いているのとは違う。何しろサラリーマンの身なりがいい。年の頃は20代半ばで、羽織っているコートも安くないとみた。背負っているリュックだって量販店のものじゃなくて、革製のいかにも高給取りのビシネスマンって感じ。
「高給サラリーマンは座って食事をする時間もないってこと? せめてベンチに座って食べられない!?」
あるイベントで知り合って仲よしになったT子(33才)にその話をしてみた。T子もIT業界でバリバリ仕事をしているイマドキのできる女だ。すると、「その人、“タイパ”を考えてるんだと思うよ」と耳なじみのない言葉が返ってきた。
「タイパ??」と聞き返すと、「タイムパフォーマンスのことよ。一時期よく耳にした“コスパ”はコストパフォーマンスの略語で、“コスパ重視”といえば、支払ったお金に見合う価値がどれだけ高いかを重視する考え方のことだけど、“タイパ”はタイムパフォーマンスのこと。“タイパ重視”は時間をできるだけ効率よく使おうとする考え方よ。
その人はきっと、食事を済ませてから移動するより、食事と移動を同時にした方が効率がいいと思って、歩き食べをしていたんだと思うよ」と、したり顔だ。
そして、「まぁ、そうはいっても、30代の私から見たらZ世代はマジ無理。考えられないことをしてるもんね」と言うの。
「えっ? あんたもZ世代じゃないの?」と顔を見ると、「違う違う。Z世代から見たら、私は旧世代だよ。だってZ世代は1990年代半ばから2010年代前半の生まれで、物心ついたときからインターネットやSNSが身近にあった12~28才くらいの世代のことをいうんだもん」
なるほど、なるほど。それで思い出したことがある。