父の資産整理を終えるとすぐ、自分の預金口座と証券口座のリストを作り、パソコンに保存した。そして、がんが発覚してからは預金口座を一本化した。ただし昔と違って現在の銀行は多額の預金を下ろそうとすると事前の予約が求められ、予約を取れるのは1~2週間先ということがある。
しかも預金を下ろすには通帳と印鑑、キャッシュカードの3点セットが欠かせない。預金先の銀行が10行ほど、印鑑も10本以上あったが、どの通帳にどの印鑑を使ったかわからなくなり、窓口で確認するのに膨大な手間と時間を要した。どうしてもわからなければ、銀行に通帳の再発行や印鑑の改印を依頼することになる。これも最長で3週間ほどの無用な時間がかかる。
生前に資産整理する際、リストには金融機関名と資産内容だけでなく、通帳の保管場所、口座開設に使った印鑑や暗証番号などをセットで記入することが大切だと実感した。また、通帳の一本化には想像以上の時間がかかることを覚悟し、できるだけ早い段階から動き始めることをお勧めしたい。
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現在、マネーポストWEBでは、別記事《【独占手記・全文公開】森永卓郎氏、がんステージIV「余命4か月」宣告でも精力的に生きられる秘訣 お金、健康、人間関係の整理…常識に囚われない心得を明かす》にて、森永さんの手記を全文公開している。資産整理、治療の様子、気の持ちよう、そして最愛の家族も含めた人間関係についてまで、がん宣告されてから亡くなる直前まで、森永さんがたどりついた考え方を詳細にレポートしている。
※週刊ポスト2025年2月7日号