自宅のスズメバチの巣の駆除費用は誰が負担すべきか
自治体などの補助金支給条件は、各自治体の裁量によるケースも多い。たとえば「スズメバチの巣の駆除」といった、下手をすれば命に関わることでも、自治体によっては個人で負担しなければならないこともあるだろう。「スズメバチの巣の駆除」などの事例に対する自治体の補助について、実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
屋根に巣くったスズメバチの駆除を行ないました。30分ほどで除去されたのですが、5万円ほどの費用がかかり、痛い出費です。考えてみれば、こちらに落ち度があり、そのせいでハチが巣を作ったわけではありません。それなのに、費用を負担するのは納得がいかず、自治体などが賄うものではないのですか。
【回答】
市町村などの地方自治体は、その固有の事務として、直接に住民の共同の福祉を増進するための様々な行政を行ないます。
例えば学校の設置管理、地下鉄やバスの交通機関の運営、病院や診療所の開設など、多岐にわたります。具体的に事業をどのように行なうかは、法律で定められた事務を除き、自治体の裁量です。
家に巣くい、人に迷惑をかけ、危害を及ぼすのはスズメバチだけではありません。ネズミは伝染病を媒介しますし、シロアリは家を倒壊させることも。こうした動物・昆虫被害が住民共同の福祉に関わらない個人的な利害に関する場合には、自治体の援助は期待できません。ただ、スズメバチは飛び回ります。刺されると、人によってはショックを起こすなどの重篤な結果を引き起こしかねません。