私宅に巣くった場合でも、自治体によっては一定の条件の下で、駆除を事業として行なったり、補助金を出しているところもあれば、お金は出さないが、防護服を貸すところもあったりします。これらは、自治体の裁量です。巣が公共の場所にない限り、駆除や補助をしないことに、法的責任を追及することはできないのです。
なお、人の生命身体に危険があり、財産に重大な損害を及ぼす虞のある天災・事故等では、警察官は『警察官職務執行法』に基づき、警告を発し、避難誘導の他、関係者に、危害防止のために必要と認められる措置を取るように命じ、又は自らその措置にあたります。
私宅内の巣でも、通行人など不特定多数の被害発生が必至で、通行禁止等では対応ができない場合、駆除は住民共同の福祉の上で必要といえます。警察や自治体が駆除せざるを得ないほどの危険と判断されれば、それは公務となり、費用が発生しないこともありえるので、役所に相談してみましょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2025年2月7日号