「本棚に収まるところに価値がある」
販売展開では、書店のレジ横に置いてもらいやすいように、スタート時から今に至るまで店頭用販売台を制作するなど、手にしてもらいやすい工夫も凝らした。
「自分が書いたものが、文豪や活躍中の現代作家の文庫と同じ本棚に収まるところに価値があるのではないかと思いました。作家の文庫本同様『マイブック』にも、新潮文庫の特徴であるスピン(しおり紐)をつけているんですよ」(大貫さん)
今やスマホの普及率が97%(NTTドコモモバイル研究所調べ・2024年1月時点)という圧倒的デジタル時代において、 “手書き”の魅力は若年層にこそ新鮮に映っているのかもしれない。大貫さんは、「アナログでオールドな手法ですが、ワンクリックで消えてしまうデータではない点がよいのではないかと思います」と語る。
記録し続ける自身の日常は、“物語”でもある。“白い本”は、人生の1ページをつくるのはいつも自分だということを、改めて感じさせてくれる。
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