株主総会と議決権のしくみ
株主総会は、通常1年に1度、決算後の時期に開催されます。3月決算の上場企業の場合、6月に行われるケースが多いです。株主は原則として保有株式1株につき1つの議決権を持っています(ただし、種類株式など例外もあります)。
議決権を行使する場面は主に以下のようなものです。
・役員の選任や解任
・配当額の決定
・企業の合併や分割の承認
・定款の変更
これらの議題について、株主は賛成または反対の意思表示を行います。議決権は、株主総会に出席して行使するだけでなく、郵送やオンラインで事前に行使することも可能です。
過去の株主総会での波乱事例
議決権の重要性が最も感じられるのは、企業の意思決定を巡って株主間や経営陣との対立が起きる場合です。過去に話題となった株主総会での波乱事例を見てみましょう。
【1】村上ファンドと阪神電鉄(2005年)
投資ファンド「村上ファンド」が阪神電鉄の株式を大量取得し、株主総会で経営陣に対して株主価値を高めるよう圧力をかけました。この一件をきっかけに、最終的に阪神電鉄は阪急ホールディングスとの経営統合を決定しました。このような株主アクティビズム(積極的な株主行動)は、日本の株式市場においても注目されるようになりました。
【2】カルロス・ゴーン氏のルノー・日産統合問題(2019年)
日産自動車とルノーの経営統合を巡り、両社の株主総会では意見が大きく割れました。特に日産側の株主はルノーの過度な影響力に対して懸念を表明。最終的に経営統合案は見送られる結果となりました。
【3】東芝の株主総会(2021年)
東芝では、経営陣が特定の株主を排除しようとした疑惑が浮上し、株主総会で大きな混乱が発生しました。これを受け、外部調査委員会の報告書が公開され、経営陣の行動が不適切であったことが判明。最終的に経営陣の一部が辞任する事態となりました。
じつは、次の6月の株主総会で波乱が起きるのではないかと予想されているのがフジ・メディア・ホールディングス(4676)です。中居正広氏と女性とのトラブルにフジテレビ社員が関わっているのではないかという疑惑に対する経営陣の対応は曖昧で、株主への誠実さを感じません。株主総会では、株主による厳しい声が叩きつけられるのはもちろん、場合によっては経営陣の一掃といったドラマが生まれる可能性があります。普段は株主総会に出席しない株主も、積極的に参加するのではないでしょうか?