現在の状況ではコメ現物が「お得」な理由
澤井氏はこの3つのタイプをどう使い分けているのか。
「最近はお米現物をもらうことが多いですね。たとえば100株で2kgのお米をもらえる株主優待は、スーパーなど店頭でお米が値上がりしても、2kgの現物が届きます。過去10年間を振り返ると、コメ不作の時も無事もらえました。レトルトのパックご飯は、ご飯を炊いている時間がない時に手軽に電子レンジで加熱すれば食べられますし、備蓄食品としても重宝します。
おこめ券は有効期限がないので、お米の在庫が家にある時は貯めておくことができますし、好きな銘柄米を選んで買うことができるほか、取扱店であれば、お米以外の食料品やお酒など幅広い商品が買えるのも魅力です。現在発行中のおこめ券(全米販の全国共通おこめ券、全農のおこめギフト券)は1枚440円分として使えて便利ですが、店頭のお米の価格が高騰している現在のような局面では、自宅に規定の量が届くお米現物のほうが値上がり分を負担しなくていいので、お得と言えます。値段の高いブランド米でしたら、さらにお得ですね」
ふるさと納税と株主優待の“二刀流”ならではの注意点
「お米銘柄」を選ぶ際の注意点を澤井氏がアドバイスする。
「私も失敗したことがありますが、お米現物をもらえる株主優待銘柄をたくさん保有していると、同じ時期に一気に多くのお米がドサッと届いてしまい、保管場所や消費に困る場合があります。特に私はふるさと納税でも返礼品としてお米現物を選ぶことが多く、しかも毎年12月に駆け込むタイプ(笑)。早いと1月にすぐ届きます。同じ時期に株主優待の新米の現物も集中して届いて、食べきれなくて困ってしまった時がありました。最近は1年を通してバランスよく受け取れるよう調整を心がけています」
澤井氏によると、9月末に株主優待の権利が確定するお米銘柄の場合、新米現物が12月頃に届くことが多いという。
「反対に、株主優待で届いたお米を食べ尽くしてしまい、在庫がなくなってスーパーで買ってくる時もあります。総合的に考えると、お米現物でもらったり、おこめ券やパックご飯でもらったりと、もらい方の分散も大切な観点と考えます」
澤井氏が直近で注目している「お米銘柄」はどのようなものか。関連記事『《現物、おこめ券、パックご飯》“優待弁護士”澤井康生氏が厳選する「コメをもらえる株主優待10」一覧リスト』で厳選10銘柄を一挙公開している。
【プロフィール】
澤井康生(さわい・やすお)/秋法律事務所弁護士。1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。警察官僚、警視庁刑事として事件現場の捜査も経験。警察庁退官後、2003年に旧司法試験に合格。弁護士として活動しながら早稲田大学大学院でファイナンスMBAを取得。企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件など幅広く手がけるとともに、東京簡易裁判所の非常勤裁判官を歴任。企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。刑事法に詳しい弁護士としてテレビや新聞にも多数出演。個人投資家として株主優待ライフを楽しむ「優待弁護士」としてメディア出演も多い。
取材・文/上田千春