5人衆が必死で日枝氏を守っている理由もわからない
それからもう1人、責任者といえば、中居氏から見たら親世代で「フジテレビの天皇」と呼ばれている日枝久取締役相談役(87才)よね。40年近く組織のトップに居座り続けながら、社の存亡をかけた会見に出てこないのも不思議だし、5人衆が必死で日枝氏を守っている理由もわからない。
てか、今回のことだけじゃないんだよね。これまで大会社が不祥事を起こすたびによ。「社内の偉い人を守ることが、自分を守り、会社を守ることになる」と信じてグチャグチャな答弁をする中途半端に偉いおじいさんたちを何回見せられたことか。
一蓮托生。死なばもろとも。お前をひとりにしない。なんだかんだ言って、責任がどこにあるかわからなくする、昭和おじさんの浪花節。それが平成も半ばあたりまで日本を支えてきたのかもしれないけれど、いくらなんでももう無理。退場してほしい。
それにしてもよ。女子アナを大物タレントに“上納”したのが事実なら男どもの意識の低さに呆れるしかない。けど一方で、女性の側はどうだったのか、とも思うんだわ。一人や二人で抗するのが心細いなら、女同士結託して、証拠の録音データを集めて、組合作って大騒ぎしたらいいのよ。
そういえば、思い出したことがある。数年前、女性週刊誌を舞台にしたNHKのドラマ『半径5メートル』のスタッフから取材を受けたんだわ。チーフ演出をはじめ3人の女性スタッフと打ち合わせをしたとき、「女性中心の組織を作るのは難しくないですか?」と聞いたのよ。そうしたら、そのうちの1人が「私、女子校出身なんですよ」と笑ったの。生徒会長、書記長も女なら、反対勢力も女。それをまとめて運営するのが女子校の生徒会なんだって。
聞けば、女性の従業員が多い会社は、彼女たちのような頼もしい女性が管理職になって活躍しているのよね。てか、管理職も、性差というより能力差が物を言うのは、いまの時代、火を見るよりも明らかよ。そう思うと、今回のフジテレビは、5人衆はもとより、会見に出てこない重要人物などなど男まみれだ。
──なんていうと、「オバは男嫌いか!?」と思われそうだけど、そんなことはない。取材でお会いしたとき、軽自動車で最寄り駅まで迎えに来てくれて、簡素なご自宅で話してくださった同い年の森永卓郎さんの訃報は、いまもって悲しくてたまらないんだわ。亡くなる前日までラジオに出演していた彼に、「多くの人からの尊敬はあの世まで持っていけるよ」と手を合わせたのでした。
オバ記者こと野原広子さん
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年2月20・27日号