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和田秀樹医師が説く“幸せな老後”のための健康との向き合い方「数値に一喜一憂するのはやめましょう」「禁酒もしなくていい。ストレスを溜めないのが健康寿命の鍵」

健康であるかどうかは数値だけで判定できるものではない

 健康診断の数値に一喜一憂するのもやめましょう。例えば、コレステロール値を下げろと医者は求めますが、コレステロール値は基準値より上のほうが長生きするというデータが多数存在します。

 そもそも60歳以降は少しずつ体に異変が出てきて健康診断で異常値が出やすくなる。健康であるかどうかは数値だけで判定できるものではなく、数値が異常でも健康上は問題ないことがあり、数値が正常でも病気に罹るリスクはあるのです。健康診断を受けるくらいなら、数年に一度の脳ドックや心臓ドックを受診したほうが良いでしょう。脳や心臓の血管の状態を定期的にチェックしておけば、突然死のリスクは抑えられます。

 とはいえ、脳梗塞や心筋梗塞を過度に恐れる必要はありません。これらの死亡率は低下していて、突然倒れてもすぐに処置できれば救命できる確率が高まっています。病気になる不安を抱えるより、なった時にすぐ救急車を呼べる態勢を整える方がよっぽどいい。

 日本人の死亡原因トップのがんについては、高齢者になると必ず発生する病気であることを知っておきましょう。高齢者のがんは多くの場合20年以上かけてゆっくりと進行するものであり、「つらい治療をしない」という選択肢もあります。

 生活習慣の考え方もリセットが必要です。歳を重ねると「肉を控えろ」とよく言われますが、肉類に多く含まれるアミノ酸は意欲を向上させて不安を軽減する神経伝達物質セロトニンの材料となります。

 禁酒もしなくていい。健康長寿の人には高齢になってもお酒を好む人が多く、晩酌程度の適量の飲酒は問題ありません。むしろ禁酒によるストレスは「NK細胞」と言われる免疫細胞の働きを低下させてしまいます。何事も無理な我慢をせず、ストレスを溜めない。それが健康長寿の鍵なのです。

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※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号

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