他方、「思ったよりもよい結果」の場合はどうだろうか?思ったことと異なる結果が起きたのだから、これは正解とは言いがたく、実は「失敗」と考えることもできる。でも、ここで、「思ったよりもよい結果」を招いた理由がわかったらどうだろうか?
常に、当初想定した以上のパフォーマンスを実現できることになる。
「思ったよりも悪い結果」「思ったよりもよい結果」は、いずれも失敗と言えるかもしれないが、その理由さえ見つければ、次への学びにつながるわけだ。一方で、「思った通りの結果」の場合は、その考えはそもそも正解だったため、自分の自信にはなるだろうが、次への学びはない。
「失敗は成功のもと」とは先達の言葉だが、失敗した時こそ最大の学びを得て成長する機会になるということである。言い換えれば、それこそが「正解を自ら創る」ことであり、ヨイコノノロイ虫を撃退する方法だ。
こう考えると、失敗を怖がりチャレンジすることを避けるようになる「シッパイコワイ虫」さえも同時に撃退することが可能になり、失敗を学びの源として楽しめる毎日となる。
「正解は探すもの」というのは「思い込み」で、「正解は創るもの」と考えた方がよっぽど楽しいし、成果も大きいと言えるのではないだろうか。
※岸良裕司氏・著『組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋して再構成
【PROFILE】
岸良裕司(きしら・ゆうじ)/ゴールドラットジャパンCEO。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraint:制約理論)をあらゆる産業界、行政改革で実践。活動成果の1つとして発表された「三方良しの公共事業改革」は、ビジネスマネジメントの第一人者、エリヤフ・ゴールドラット博士の絶賛を浴び、2007年4月に国策として正式に採用された。成果の数々は国際的に高い評価を得て、活動の舞台を日本のみならず世界中に広げている。2008年4月、ゴールドラット博士に請われてゴールドラット・コンサルティンググローバルパートナーに就任し、日本代表となる。東京大学MMRC(ものづくり経営研究センター)非常勤講師。主な著書に『全体最適の問題解決入門』『考える力をつける3つの道具』(以上、ダイヤモンド社)、『最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント』(KADOKAWA)、『いま、あなたに必要なのは答えじゃない。問いの力だ』『脱常識の儲かる仕組み』(以上、アマゾン)、『子どもの考える力をつける3つの秘密道具』(ナツメ社)、監修書に『ザ・ゴールコミック版』(ダイヤモンド社)などがある。