優秀な人材でもパフォーマンスが上がらないのはなぜか(イメージ)
「優秀な大学を出ているのに、仕事ができない人がいる」──SNSでも散見されるフレーズだ。学校を卒業し社会人になると、変化が激しく、競争の厳しい世の中にさらされる。学業では評価されてきた“よい子”たちが、社会で苦戦することは往々にしてあるだろう。
東京大学MMRC(ものづくり経営研究センター)で講師を務める岸良裕司氏は、このように悩む人が持つ“思い込み”を害虫に例えて「ヨイコノノロイ虫」と呼ぶ。“正解”がないからこそ難しい、社会人生活に適応できない人に寄生する「ヨイコノノロイ虫」の駆除方法を、岸良氏が伝授する。
岸良裕司氏の著書『組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋して再構成。【全4回の第2回】
MBAまで取得して復帰しても 状況はさらに悪化
「学校では成績優秀だったのに、仕事ではなぜ成果が出せないんだろう?」
そんな悩みを持っているあなたには、「ヨイコノノロイ虫」が取りついている可能性がある。
このような人が、結果が出ない状況を打破しようと、「正解」を求めてMBAなどの社会人学校に通うようになると、状況はさらに悪化する。教科書に並んだケーススタディと言われる「過去問」は、ヨイコノノロイ虫が寄生した勉強好きのよい子たちにとっては大好物。水を得た魚のごとく、再び「学業」に没頭する。
しかし、教科書にある過去問はあくまでも過去の話。真似をしても、他社の後追いになるだけで、実際の仕事で成果に結びつく可能性は低い。結局、ヨイコノノロイ虫に取りつかれた人がMBAを取得して職場に復帰しても、その知識はあまり使い物にならず、相変わらずパッとしない。
むしろ、MBAで得た知識をベースに「○○会社では……」などと「正解」例を語り始め、周囲からは「出羽守(ではのかみ)」と煙たがられてしまう。
「どうやったら昔のように『よい子』にもどれるんだろう?」そんな悩みが続くと、メンタルヘルスを害しかねない危険な状態が続くことになり、せっかくの優秀な頭脳が使われず、人生を台なしにしてしまいかねない。それは、本人のキャリアにとって大きな痛手であるほか、会社にとっても大きな損失である。