訪日外国人増加の勢いは止まらない(イメージ)
2024年はインバウンド客数と消費金額が過去最大となった。いまも日本各地の観光地では多くの外国人旅行客の姿を見かける。東京・大阪・京都・広島など、旅行客に人気の都市は多いが、日本旅行を楽しむ欧米系の観光客の中には、その起点を「福岡」にするケースも多いのだという。いったいどういうことか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、福岡のタクシー運転手から聞いた話をもとに考察する。
* * *
先日、福岡空港までタクシーに乗る機会があり、運転手と約1時間喋ったのですが、最近、かなり多くの欧米系の観光客が“福岡から日本入り”していると教えてくれました。彼によると、福岡のグルメが欧米でも知られるようになり、まずはそれ目当てにやって来ていると言います。
人気の食べ物はラーメン、もつ鍋、透き通ったイカの刺身、焼き鳥だそうです。あとは中洲の屋台に行く人も多いそう。もちろん日本全国どこでもおいしいものはあるでしょうが、なぜ福岡なのかといえば、「地の利」が影響している面もあるようです。日本旅行の起点を福岡にすることで、効率よく各地を回ることができるのです。運転手から聞いた旅行者たちのモデルケースを紹介します。
欧米の観光客が好んで行くのが博多駅から約30km離れた糸島です。海岸沿いの風光明媚さから移住者も増加しており、イギリスの情報誌「MONOCLE」の「世界で最も魅力的な小都市」2021年版で世界3位になったほどです。博多で過ごした翌日は電車で約40分かけて糸島へ。その日、博多に戻ってからが日本旅行の本番となります。
もう一泊博多グルメを楽しんだ翌日は新幹線で広島へ。JR博多駅が山陽新幹線の始発駅であるため、あとは新幹線で広島→大阪→京都→東京と、外国人旅行客に人気の都市に足を運びやすいわけですね。この時使うのは、外国人しか買えない「ジャパン・レール・パス」。価格によって利用できる日数は異なりますが、たとえば7日間新幹線(のぞみ・みずほに乗る場合は別途チケットが必要)と特急を含むJR6社の路線の普通車が乗り放題でわずか5万円! 以前より高くなったとはいえ、かなりお得なことは間違いない。いまや外国人のほうが日本人よりはるかに金持ちなのにコレ、まだ必要ですか……?