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田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国製の人型ロボット、生放送で高度な歌謡ダンス披露して即売り切れに 中国企業による量産化スタートで活性化する“ロボット市場”の未来

ダンスを踊る人型ロボット(宇樹科技ホームページより)

ダンスを踊る人型ロボット(宇樹科技ホームページより)

中国本土株式市場で関連銘柄への物色が進む

 宇樹科技自体は未上場企業だが、春晩でのデモンストレーションが社会全体に大きなインパクトを与えたことで、中国本土株式市場では関連銘柄探しが進んでいる。H1ロボットの需要先として、鉱山での採掘現場、金属精錬やセメント、建材の製造現場、埠頭での荷下ろし現場などが真っ先に挙げられ、関連銘柄の株価が上昇している。また、重要部品となるサーボモーターやさらにその重要部品のネオジム磁石メーカー、センサーなどの電機メーカーといった取引先や、いずれも少数株主ではあるが、直接株式を所有していたり、VCファンドを通じて間接的に株式を所有する銘柄などにも資金が流入している。

 また、宇樹科技の競合先として、川機器人、均普智能、優必選、埃夫特-U、中控技術、禾川科技、埃斯頓など多くの上場企業があるが、ロボット業界全体が活性化されるといった見方から、全部ではないが、一部の同業にも資金が流入している。

 足元では利益確定売りに押されている銘柄もあるが、ロボット関連について、AIと並び、有望セクターとみるアナリストは多い。

 人型ロボットは、米国にもマイクロソフト、NVIDIAのほか、ジェフ・ベゾス氏らが出資するフィギアAIやテスラなどの有力メーカーがあり、技術力も高い。そこに、伝統的にコストダウンに関して突出した力を発揮する中国企業が本格的に商業化生産を始めようとしている。米国としてはこの分野での中国企業の台頭を抑え込みたいところだろうが、世界最大の製造大国となった中国はロボット生産に関しても、そのサプライチェーンのほとんどを国内で完結させている。この分野でも中国の発展を抑えるのは容易ではない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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