何にいくら使ったのかわかりにくくなる
リスクがあるとわかっていても使いたくなる理由は、その便利さに尽きる。だが、差し込むだけ、かざすだけで決済できる利便性は、ムダ遣いや衝動買いを招くと、消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが警鐘を鳴らす。
「財布に一万円札が入っているときと比べて、千円札が2枚しか入っていないときでは、買い物にブレーキがかかるはず。現金を使うときは、財布からお金が出ていく様子が可視化でき“お金が減っている実感”があるからです。一方、キャッシュレス決済にはそれがなく、常に数十万円が財布に入っているような錯覚に陥る。現金しか持っていないときより、明らかに気が大きくなりやすいのです。
また、キャッシュレス決済にはQRコードやバーコードなど方式が多用で、店舗によって使える種類が異なることも多い。すると何種類もの決済方法を併用しなければならず、より何にいくら使ったのかわかりにくくなります」
お金を払っている実感がないまま、買い物の高揚感だけを感じるため、買い物への依存度も高まりやすい。特にネットショッピングの場合は、サイトにカード情報を登録していれば、場所も時間も選ばず「欲しい」と思った瞬間に衝動買いができてしまう。
「焦らせて購入を促す時間限定セールや関連商品のおすすめなど、ネットショッピングにはとにかく誘惑が多い。一度でも買い物するとメルマガが届き、1日のうちでもっとも判断力が落ちる夜を狙ったタイムセールも多く、節約の大敵です」(丸山さん・以下同)