もう一つは税務調査だ。
消費増税の議論が始まった2011~2012年にかけてを振り返ると、朝日新聞、日経新聞、テレビ朝日などに国税の税務調査が入り、申告漏れを指摘された。読売も2013年に税務調査を受けている。
「どの企業も税務調査は怖い。それは新聞社も同じです」(同前)
軽減税率というアメと税務調査というムチで、財務省はメディアを牽制しているとの指摘だ。このような関係性は、財務省に関する報道姿勢に影響を与えないかメディア側に見解を問うと、各社とも「該当事実はありません」「常に公正な報道を心がけております」などと回答。財務省は「税制を所管する立場から、必要に応じ、ご説明を行っています」とするのみだった。
次官経験者が読売新聞グループの監査役・社外取締役に
財務省のメディアへの影響は様々なかたちでさらに強化されつつある。たとえば、財務省OBの天下りだ。
眞砂靖・元次官が読売新聞グループ本社監査役を務め、森友問題で処分を受けた岡本薫明・元次官は読売新聞東京本社、大阪本社、西部本社の監査役だ。
同社には2010年以降、財務次官経験者が再就職するようになった。2014年以降はグループの日本テレビでも確認できる。
現在、日本テレビHDでは、「ミスター消費税」と呼ばれた大物次官の勝栄二郎氏と眞砂元次官、旧大蔵省出身で元防衛事務次官の佐藤謙氏の3人が社外取締役を務め、社外取締役6人の半数が財務省OBだ。
監査役や社外取締役は経営をチェックする立場。財務省OBが読売新聞、日本テレビの経営に睨みを利かせている状況だ。